忍者ブログ
更新のお知らせや管理人の日常


×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


「怒るかな?きっと、選べない。誰の手をとるだろう、私は。きっと、誰かひとりを決めるなんて怖くてできなくて。それで、みんなを失うの」
ぽつり、ぽつりと、零れる言の葉に耳を澄ます。
そして降り積もる、いとしさ。
「それは、おひーさんが薄情なんじゃなくて」
まだ幼いひと。けれど誰よりも心というものを知っているひと。
いつか、俺はあなたの胸を騒がす雑音にさえ殺気を向けてるんじゃないかと思うよ。
見えないものにさえ。触れることもできないものにさえ。いや、だからこそ。
「おひーさんが、この世界の誰よりもひとの感情ってのを知ってるからだよ」

 

 


降り積もる情慕

 

 

 

焚いている焔が辺りを照らす。闇で覆われた森の中で、唯一そこだけが光を発していた。
ただ一つの光源。火は暖かく、冷える夜には、眠りに落ちるその瞬間まで熱を与える。翠だけのために。

(そもそもなぁ。こんなちっこい女の子が旅なんてするのが間違ってる)

ユカリはひとりごちて、思う。最近トレーナーの低年齢化が進んでいる。さあ、冒険だと故郷を出発したは良いものを、それまで家で甘やかされて育った
坊ちゃん嬢ちゃんにいったい何ができよう。さらに、ポケモンをゲットする?飼いならされたものならいざ知らず、外の世界にいるのは野生として厳しい
自然で育った猛者ばかりだ。結果、想像と理想のギャップに驚いて、憤り、泣きながら故郷へ戻る者は後を絶たない。
――こんなはずじゃなかった!!
では、どんなはずだったというのか。
俺たちは皆あんたにひざまづき、頭を垂れ、忠誠を誓うとでも?

「寒くない?」
「ん?大丈夫よー、おひーさん」

でも、と顔を曇らす少女が、どうしてそんな悲しげな表情をしているのかがわからなくてユカリは内心で首をかしげる。夜の帳が落ちたとしても、ユカリ
は人間ではないから。もともとユカリの住まいは人間の世界とは一線を画した山奥だった。彼の種族は見た目があれなので誤解されやすいが、そうそうの
悪環境ごときで屈しはしない。

「おひーさん?」
「哀しい顔をしていたよ」
「俺が?」
「そう、ユカリ君が」

言った後、ゆっくりと翠は瞼を伏せた。もうずいぶんと遅い時間だ。眠気に襲われているのかもしれない。
布を一枚、彼女の上へと羽織らせる。ほんとうに、こんな小さな体で。
ヒカルはよくできた男だった。世界の理をよく知っていた。ほんとうに欲しいと願うのなら、それに見合うだけの労力をかけなければならないこと。
力を手に入れなければいけないこと。
そして、それでもままならないことがあるのを知っていた。
それは翠にも受け継がれている。もしかしたら元から気づいていたのかもしれないけれど。

自分では動かしようもない事実。誰かがそれを運命と呼んだ。

「おひーさんは、さあ。どうして旅なんかしようと思ったの?」
眠っているなら、それでも構わなかった。ただ、今瞬間に聞いてみたいと思った問いだった。
しばらく答えは返ってこず、ああ寝たのかとユカリはもう一枚厚手の毛布をかけようとして。

「……運命、かな」

喜びも悲しみも憤りも憎しみも諦めさえ、何もかもが混在した声だった。運命。あなたはそれを信じるのか。

「運命?」
「そう。流されて流されて、私は今ここに居る。何か見えない大きな力に。……運命、偶然でも必然でも、もうどちらだとしても私はいいのだけど」
みんなと、会えたからね。
最後に小さく付け加えて、今度こそ翠は黙り込んだ。
「……寝ちゃった?」
返事はない。小さな体を自分の方へと抱きよせて、少しでも風の防波堤になれるように。
控え目な寝息は、ユカリの庇護欲をかきたてる。自分は、自分の主として彼女を見ていないのかもしれないな、と自嘲にも似た思いとともに突然気づいた。
ならば何かと問われれば非常に返答に困るが、これはもしや一族へ向ける、愛、にも通じるものではないだろうか。
(あい)
愛、だって?
はたと気づいて目を見張る。ユカリの心情など誰も覗き見ることなどできないのに、どうしてか当惑するほどいたたまれなくなった。愛だって?

「ユカリ、君。紫君。ねえ、あなたは、知って、いるんでしょう?」
「……おひーさん?起きて」

腕の中を覗き込むと彼女の目蓋はしっかりと閉じていた。なんだ、寝言かと息を付いて、その意を考える。知っているかだって?いったい何を。
「――――あなたが、今俺が抱いている想いを知ったなら、喜んでくれるだろうことなら知っているよ」
世界は、恐ろしい、と。ひとがこんなにこわいものだなんてしらなくてごめんなさい、と。
束縛を越えた先にあるものがなにか。わからないけど、きっと破滅に近い存在だと本能的に翠は気づいているのかもしれなかった。ひたすらに恐怖する翠であるから、
ユカリが恐れ多くも『主人』に、対等、いや、守るべきものという意味では下に(誤解を恐れずにいうなら、だ。自分は決してそんなつもりはない)見ていることを
あなたは悲しまないだろう。むしろ、喜ぶのだろう。

「ツユに知れたらぶっ殺されそうだわ」
小さく小さく、ユカリは笑った

 

 

 

 

『怒るかな?きっと、選べない』
そして彼女は寂しく笑う。
運命だと言った。自分たちが出会ったことを、ユカリにとってすべてが始まったあの時を。
選べなくて良い。他の奴らの心情などなんら気にしてはいなかったが、これだけは断言できる。選ばれなくても――――必要とされなくなっても。
彼女が失うことはない。絶対に。
いとしいひと。どうか気付かないでいてほしい。あなたが選べないのは、俺たちが選ばれることを望んでいないからだ。


PR


夢暦を書いてたはずなのに。
花井君がうじうじしてるからいけないんだとか言ってみる。
でもやや後ろ向きでなかったら花井君じゃなくなるんだよなー。
ある程度まで落ち込んで、そっから浮上して成長していくタイプだと思う。彼は。
おお振りのなかで一番の男前は泉くんだと信じて疑わない。


さて、二日連続で日記更新なんて何年ぶりだろうね。

以下に、遥か小話、ルナをのっけときますー。



一向に進まないサイト復活作業に呆然としつつもゆーったりと進めております。
まずは企画からだな。何年お待たせすれば気が済むのか。

今日は母の日ー!
ということでカーネーションを買ってきました。
黄色とオレンジで花束を作ってもらいました。
ほんとはピンクがよかったんだけどな。良いかんじの花がなかったからな。
まああれはあれで可愛い。
お母様いつもありがとうございますの気持ちをこめて。


さて、そんな母の日とは全然関係のない小話です。
遥か設定。ヒカル。
素敵なお題をお借りしてうちのやつらでがんばろうかなーと思ってます。
とりあえずヒカルから。書きやすいのかにくいのか相変わらずよくわからん奴だ。


続きからどうぞ!!



寒い寒いと言いながら毎日を暮らしております。
どうも、理穏です。

ハリーぽったーと炎の杯を見てて思ったんですが、やっぱりアレははしょりすぎですよねー。
原作読んでない弟は、「???」な感じでした。
映画の楽しみ方はやっぱり原作を想像する助けにすることなんだろうな。お城は素晴らしいと思う。
あーホグワーツ入学したい。
ところでですが、ずいぶん前に映画の「賢者の石」を見たときに何より衝撃だったのはハグリットでした。

「え!!!!普通に人やん!!!!!!!」

私は彼を何だと思っていたのか。
初めてハリーポッターを読んだとき彼のイメージはシュレックです。何故。

続きにヒカルの小話です。




何故自分がこの場にいるのかわからない。


今年も宜しくお願いします


「翠ちゃん翠ちゃんー!!お餅何個食べるー?」
「嫌いなものとかあったら遠慮なくお兄ちゃんに押し付けていいからねー」

両隣から聞こえる同じ高さ同じトーンのソプラノに、翠はあいまいに苦笑した。
「え……っと、お餅は一個で十分かな。それからご馳走になるのに残すなんてできないよ」
はは……、と乾いた笑い声というよりはうめき声になってしまった声を翠は溢した。
どうして当たり前のように座らされているのだろう。
お母さーん、翠ちゃん一つでいいんだってー。
仲良くキッチンの方へ駆けて行く双子――言うまでもなく飛鳥と遥だ――をなんとも説明しがたい気持ちで眺めていた翠は、自分を見つめている花井に気付いてそちらを向いた。
「花井君?」
「あいかわらず懐かれてんなァ」
双子のことだろう。
実の兄にそう評されて、翠は頷いた。
兄弟の居ない翠にとって、年下の子がじゃれついてくるのは新鮮で、とても可愛く思える。
自分の何がそんなに気に入られたは実はよくわかっていないのだが、この家族は翠のことを気に掛けてくれている。
花井の母親のきく江にしろ、妹の飛鳥、遥にしろ、そして。
「まァ、いっつもお前連れて来い連れて来いって煩かったからかまってやってくれると助かる」
初めて会ったその瞬間から手を差し伸べてくれた、彼にしろ。
「よろこんで。……と、いうかね。花井君」
「ん?」
「私はこんなにこの家に入り浸って良いのかな……」
かれこれ五日だ。いくらなんでも居座りすぎている気がする。
花井家に世話になるのは情けないことだが毎度のことといえ、いくらなんでも……と眉を顰める翠に、花井はあきれたように息を吐いた。
彼のそんな動作を、翠はもう何度も見ている。
「あーのーなァ、何度も言ったけど、もっぺん言うぞ?相馬じゃねーだろ?お前の袖引っ張って引き止めてんのは誰だ?」
彼の言いたいことはわかる。
ご馳走様でした、と皿を洗って丁寧にお辞儀をし返ろうとした翠を泊っていきなさいもう遅いと腕をつかんだのはきく江で、翌日おせちが余っているの片付けてくれないかしらと両手首をつかんでリビングまで引き戻したのはきく江で翌々日…………。
「……あれ、きく江さん……?」
もしかして花井家の冷蔵庫を制覇しつづけるまでこの家でくらすかもしれないと、そんな画が頭を過ぎり翠は呆然と呟いた。
太る。このままでは確実に太る。
まさかそれが狙いではないよね、とそこまで考えて、どこか面白そうな花井に目をむける。
「な?諦めろ」
「や、すごく居心地は良いんだけど、なんか申し訳なくって」
「気にしたら負けだと思え。そしてどこまでも図々しくなれ」
「えぇ?なぁに、それ」
本当に優しい家族だ。
こんな家で育ったなら、彼が彼になるのもわかる。

出来るならば。

今年と言わず、出来るならば。

「花井君」
手にもったグラスだけで、彼は気付いたようだった。
いきなり何だ、と言いながらそれでも付き合ってくれる。

「不束ものですが、よろしくお願いします」
カン、とグラスを合わせた。
今年だけと限定したくなくて、それに代わる言葉を捜したのだけれど、どこか何か違う気がして首を捻る。

「……嫁に来る台詞みたいだと思うのは俺だけか?俺だけかっ?」
顔を赤くしてぼそぼそと呟く花井に、結局翠が気付くことはなく。


end


---------------------------------------------------------------------------------------------------------

お久しぶりでございます。ほんとに…前が11月とは思いもよらず。
小話ひっさげて参上したしだいでごさいます。
拍手はほんとに励みになりました!音沙汰もなかったのに……と涙が……。
以下、お返事です。




 



material by アルフェッカ

忍者ブログ | [PR]
 
カレンダー
04 2026/05 06
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
フリーエリア
最新CM
最新TB
プロフィール
HN:
理穏
性別:
女性
自己紹介:
気の向くままに夢を綴っています
バーコード
ブログ内検索
カウンター