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伝われば良いのに。
ポツリと呟かれたその言葉に、聞こえたその方に顔を向ける。
その表情は、なんと言うか。


痛いほど優しい イトシイという気持ちを呼び起こすほどに


「そうかぁ?」
茹だるような暑さの中で、先ほどまで必死で走り回っていた身では相槌を打てない言葉が聞こえた。
おそらく独り言だったのだろう。
返事がくるとは思っていなかったのか、彼女はきょとんと花井を見上げると、しかしにこりと微笑んだ。
ドキリ、とするのはこんな時。
切ないほど綺麗な笑みを、惜しみなく降り注ぐ。
笑いかけられることは(いつも共にいることも多く関係していると思うが)しょっちゅうなのに、慣れることはない。
ずるい、と思う。
反則だ。馬鹿みたいではないか。いちいち反応する自分が。
手渡されたタオルで赤くなっているだろう顔をおおって、ドカリと座り込んだ。
「暑ィ」
今ままで以上に体温が上がった気がする。
「暑いね、確かに」
「さっき涼しいとか言ってなかったか?」
都合よく勘違いしてくれた相馬に、お前のせいだなどとは言える筈もない花井は、その言にのる事にした。
手渡されたドリンクを呷りながら、それさえもまた花井の感情を揺さ振る。
おせっかいな奴らのせいで(おかげでとは言ってはやらない。悔しすぎる)花井にタオルやらドリンクやらを手渡すのはもっぱら翠だ。
気持ちを隠せるほどポーカーフェイスに自信があるわけではないが、いくらなんでもばればれなんて酷すぎる。
それから、あからさまに彼女とひっつけようとするの勘弁願いたい。ばれる、ばれるだろ!!と心の中で何度叫んだか、もう数えることもできないほどだが、あどけなく此方を伺う彼女を見ている限り、今のところは大丈夫だろう。
しかし、情けないことこの上ない。友人の助けがなければ何も出来ないみたいで。
「風が、ね?少しだけ先取りの贈り物を。花井君には来てないかな」
言ったとたんに風が彼女の髪を吹き上げる。
彼女には、何か不思議な力があるんじゃないだろうか。願いを、叶える力。ほんの些細なことだけれど妙に感動してしまう。
「まだまだ夏だけど、季節は流れてるなぁって、感じないですか?」
「まぁ、茹だるような暑さっての?それに比べりゃマシだよな」
面白くもなんともない返答を返してしまったのに、それでも彼女は笑った。
それから、沈黙。
驚くべきことに、そこに気まずさはまったくない。
むしろ、落ち着くほどだ。
そんな思いに満ちていると、聞こえた呟き。

伝われば良いのに。

誰に、とか何が、とか。
尋ねたいことは多いものの、その前に。
どうして、そんな表情をしているのか。
時折、彼女は溶けるように気配が薄くなる。
事情があるらしい家族だとか、何故か関係をたってしまった友人だとか、そんな存在を思っているときにそうなるのだと、いつか気付いた。
気付いただけで、出来ることなどないに等しい。
でも、彼女にとって俺は、この世界に繋ぎ止めることができる存在であると、信じることくらいは自由だろう?
悲しくなるほど切なさで満ちたその呟きを拾って、“会話”にするために、どうか、そばに俺はいるのだと気付いてもらうために、花井は言葉を贈る。
どんな言葉であっても、真摯に、真剣に受取ってくれることを、花井はもう知っているから。

何故か真っ赤になった翠と、つられるように頬に赤みが増した花井とを影でみつめている存在が複数あったことは、また別の話。


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花井サイド。
彼はいつでも悩んでます。




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「ナイチンゲールの沈黙」の文庫版を書店で見かけて即買い。
前作のバチスタはビックリするくらい読みやすかったなぁ。専門用語盛りだくさんなのにページがどんどんめくれるって素晴らしい。これぞ才能!!とか思ったりしてました。
今回はちょっとSFっぽい要素もあったけど、うん。十分楽しめた!!
田口センセの活躍がもうちょっとほしかったな気もしますけどね。
そういえば映画版の白鳥さんが阿部さんっていうのは格好良過ぎると思います。

ジェネラル・ルージュの凱旋も早く文庫化しますように。

さて、お返事。本当に本当にありがとうございます!!
ありったけの感謝を込めて!!


はないくん!いい味だしてます。の方


お返事、遅くなって申し訳ありませんでした。
花井君、やたらめったら甘く優しくなっている気がするのですが、そう言って頂けると嬉しいです!
これからも心配性で苦労性な主将を書いていきたいなぁと思うのでそのときはまた是非ご覧下さいませ。
拍手、本当に元気の源です。ありがとうございました!!




君に、届けばいいのに。


痛いほどやさしい



風が通り抜ける。
優しく頬を撫で上げて、青々と繁った葉を揺らしながら駆け抜けていった。
「涼しい」
「そうかぁ?」
理解しかねる。
そう断言できる声が聞こえて、翠は頬を緩めた。
風がそよぐと暑さは和らぐけれど、まだまだ厳しい。
そんな中動き回っている人たちにとってはそれはそれは、涼しいなんて言えたものではないに違いない。
「お疲れさま。タオル、どうぞ」
「サンキュ」
花井は翠の手から自分のタオルを受け取ると汗を拭った。
「暑ィ」
項垂れるように座り込んだ彼に、続けざまにドリンクを与える。
当たり前のように彼の私物を管理するのが翠の役目になって、それはもちろんそうし向けた誰かさんの存在も今ではわかっているのだけれど、とてもこそばゆい。
「暑いね、確かに」
「さっき涼しいとか言ってなかったか?」
「風が、ね?少しだけ先取りの贈り物を。花井君には来てないかな」
そう言った瞬間にまた、ザァっと空気が流れて、タイミングの良さに翠は声を洩らして笑った。
粋な、とはこんなことだろうか。
「まだまだ夏だけど、季節は流れてるなぁって、感じないですか?」
「まぁ、茹だるような暑さっての?それに比べりゃマシだよな」
風が吹いて、その心地よさに翠は目を細めた。
会話がなくても、気にならない。沈黙は落ち着くのだ。彼と一緒だと。
伝われば良いのに。
そんなことを思う。
「……何を?」
「え?」
「何が伝わればいいんだ?」
翠は目を瞬かせた。口に出していたことに気付かなくて、翠の頬は朱を差したように赤くなる。
何が……って?
「うわぁ」
伝われば良いのに。そう思った。
ありがとう。何度言っても言い足りない言葉。
あなたに会えて良かった。顔を見るたびに感じること。
温かさを知っている?私は、あなたに教えてもらった。
私と共に生きているこの気持ちが、君に届けば良いのに。
いつか、私の大切なひとへ。
「……えーっと。ひ、みつ。秘密です」
「いや、伝わりゃいいのにっつったの相馬」
えへへ、と自分でもわかるくらいにごまかして笑った翠に、花井は肩を竦めて困ったように笑う。
大切です。とても、大切なんです。あふれそうな思いを、全て伝えようなんてしたら、彼が潰れてしまうかもしれない重みを。どうして私から言えようか。
だから、風にたくしたくなった。

いまは、まだ。
だけど、いつか、大切な人へ。


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夢歴設定の花井君で。
ヒロイン視点はとても難しいです。
もんもんしてる花井君の方が書きやすい書きやすい。


ほーんと暑いですね。
そんな中無事に……というには色々ありましたけどとりあえず高校野球開幕!
近畿に住んでいるので近畿勢を応援するつもりです。今日も和歌山が勝ちまして。
でも見ているうちにどっちも応援してるんですよね。汗が眩しい!!
みんな格好いいです。

それで、最近はまったものといえば、何かいまさらな感じ満載ですけどまるマ。
小説ね。アニメは見てません。
借りて一気に読みました。ごめんねAちゃん。読むの速くて。むしろ全巻持って来てくれても一日で制覇する自信あるわ私。
グウェンがとても好きです。でも皆好きです。

さて、どうでも良いことを書きつつ続きにお返事です。
音沙汰もないサイトに暖かい拍手、ほんとに有難うございます!!



material by アルフェッカ

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